今回は針刺し事故、要するに注射の際に起こり得る医療従事者(医師や看護師)が被るリスクをテーマとしております。
写真にあるように血液感染のリスクをいかに予防するか、過去の統計を見ながらどのように生かしていくかを考えねばなりません。
実際にこのような事故が起こった場合、残念ながら日本では労災認定率が低いと言わざるを得ず、HIV(エイズ)、HCV(C型肝炎)、HBV(B型肝炎)に感染することは、命にかかわる重大な事故であるにもかかわらず国の対応はお粗末なのです。
アメリカではエイズが爆発的に流行した頃から診療現場では手袋を付けることが当たり前になっていますが、日本では「汚物をさわるようだ」と患者サイドの理解がなかなか得られない時期が長く続き、近年になってようやく普及しているという現状。
見た目には分からない感染リスクは、診療現場では常に伴にあることを医療従事者も理解せねばなりません。
上記は血液感染によって引き起こされるものですが、これから流行するインフルエンザなどは飛沫感染の類ですので、マスクが効果的になります。
一般のサービス業でお客さん相手にマスクをするなんてあり得ない、という声も時々聞かれますが、「医療」という業務の特殊性をご理解いただきたいと思います。
医師や看護師が感染してしまっては必要な診療行為すら提供できなくなってしまいますので。
資料の巻末にはアメリカの研修医の論文が紹介されていました。
難病治療のために精一杯努力してきたのですが、ほんの一刺しの針刺し事故(患者の血液を採取した注射針が自分の指に刺さった)ためにエイズに感染し、若くしてこの世を去ることになってしまったそうです。
その患者さんも別の病気で治療していて、本人もエイズに感染しているとは知らないまま亡くなったそうですが、ほんのわずかな確立とはいえ、そういうことが実際に起こってしまったんですね。
周囲からは親しくしていた人がどんどん去り、誤った解釈のために働き口も無くなり、その補償も受けられず、単に病気になったということ以上に精神的ダメージが大きかったとのこと。
ある意味、その医師の提言があったからこそ今日の予防策があるのかもしれません。
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